Xpreria 1 V レビュー!「ありのまま」を映し出す、SONYらしさを感じるスマートフォン

キャリア版が6/7に発売となったSONYの新型フラッグシップスマホであるXperia 1 VI。もちろん僕も購入しており、メイン端末として運用中だ。

こちらは別途レビューをしていく予定だが、今回は旧機種のXperia 1 Vの長期レビューを行なっていきたい。昨年の7月に購入しており、約1年近く使用した所感をまとめる。

Xperia 1 VIでは1 Vと比べて変更された点が多く、あえて旧機種の1 Vを選ぶという方も多いと思うので、今回のレビューが参考になれば幸いだ。

目次

新型センサーでより綺麗に明るい写真が撮れるようになったXperia 1 V

Xperia 1 Vの最大の特長は、新たに刷新されたメインカメラのセンサー。前作のXperia 1 IVと比較して大型化しており、さらに世界初の「2層トランジスタ積層型画素」という技術を採用している。

SONY公式サイトより引用

これにより、暗所性能やダイナミックレンジが大きく改善された。センサーサイズは1/1.35だが、この新技術により1インチセンサーに引けを取らない撮影体験が可能になっている。

また画素数も前作IVの1,200万画素から4,800万画素に向上しており、解像度の高い写真が撮影可能。各レンズの詳細は下記となる。

超広角広角望遠インカメラ
画素数1,200万画素4,800万画素1,200万画素1,200万画素
F値F2.2F1.9F2.3〜F2.8F2.0

作例一覧

ここから作例を掲載する。作例は全て撮って出しの無加工状態で、撮影時のカメラ設定も全て初期値のままだ。

広角(1倍)

新型センサーの明るく綺麗に映るようになった。過度な補正を行なうことなく、Xperiaらしい忠実な色表現となっている。

広角(2倍)

画素数が4,800万画素に向上したため、2倍ズームでも画質の劣化を感じることなく、綺麗に撮影できる。

超広角

超広角も程よい画角と自然な色合いで、見たままを綺麗に撮影できる。

望遠(3.5倍)

Xperia 1 Vの望遠レンズは1 IVから引き続き、可変式による光学ズームが可能となっている。そのため85mmから125mm(3.5倍〜5.2倍)までは、画質劣化なしでズームできる。

広角センサーと比べると解像度が低いので若干荒く感じたり、色味が広角センサーと異なったりするが、手ブレ補正はしっかりと効いているため問題なく撮影できる。

望遠(5.2倍)

5.2倍までは光学ズームとなるため、3.5倍と比較しても画質劣化をほぼ感じず、綺麗に撮影できる。

ズーム比較

Xperia 1 Vは最大15.6倍までズームできる。AI超解像ズームをONにすることで、通常のデジタルズームより劣化を抑えて撮影が可能だ。

0.7倍
1倍
2倍
3.5倍
5.2倍
10倍
15.6倍(最大ズーム倍率)

AI超解像ズームと言っても、最大ズーム倍率にまでなると画質の劣化が目立つ。

夜景

Xperia 1 Vからはナイトモードが実装され、暗い環境でも明るく撮影できるようになった。しかしナイトモードは手動でONにはできず、周りの光源によって自動でONになる仕様だ。※掲載している画像は全てナイトモードがONになっている。

新型センサーのおかげで、夜景も明るく綺麗に撮影できるようになった。

色味が変えられるクリエイティブルック

Xperia 1 Vから色味や雰囲気を変えられる機能である「クリエイティブルック」という機能が新たに搭載されている。

クリエイティブルックは、もともとSONYの一眼カメラであるαシリーズにあった機能で、それが今回モバイル向けに調整された。

クリエイティブルックでは全6種類のフィルターが用意されており、色味や雰囲気が大きく異なる。

  • ST(デフォルト):幅広いシーンに対応できる色味
  • NT:彩度やシャープネスが低めで落ち着いた雰囲気
  • VV:彩度やコントラストが高くくっきりした色合い
  • FL:発色を適度に抑えながらメリハリのあるコントラストで落ち着いた雰囲気
  • IN:コントラストと彩度を抑えたマットな質感
  • SH:明るめの補正をかけてふんわりとした雰囲気
ST
NT
VV
FL
IN
SH

好みに合わせて切り替えて楽しめる。

最新SoC&発熱対策で、前作より安定性が向したXperia 1 V

Xperia 1 VのSoCは、Qualcommのハイエンド向けSoCであるSnapdragon 8 Gen2が搭載されている。

旧機種のXperia 1 IVに搭載されていた Snapdragon 8 Gen1では、発熱問題に悩まされて炎天下の屋外では、カメラが数分で停止してしまうなど、本来のパフォーマンスを発揮できずにいた。

1 IVの反省もあり、1 Vでは熱周りの対策をさらに強化。熱拡散シートの大型化により、発熱問題を解決している。VC(ベイパーチャンバー)こそ搭載されなかったが、それらも含めて検討した結果、今の形に落ち着いたとのこと。

Xperiaは縦長という他のスマホとは異なる筐体サイズのため、VCの搭載がそう簡単ではないのだろう。

本体サイズ高さ165mm × 幅71mm × 厚さ8.3mm 重量187g
SoCSnapdragon 8 Gen2
OSAndroid13
メモリRAM12GB / 16GB ROM256GB / 512GB
外部メモリmicroSDXCカード(最大1TB)
バッテリー容量5,000mAh
ディスプレイ6.5インチ(3,840 × 1,644)
SIMnanoSIM / eSIM

Game Enhancerで快適なゲーム体験ができるXperia 1 V

1 IVに引き続き1 Vでも「Game Enhancer」を搭載。Game Enhancerとは、ゲームを快適にプレイするために必要な環境設定ができる機能となる。

ゲーム画面の左上にGame Enhancerのボタンがあり、タップすると設定画面が開く。

リフレッシュレートの状態やRAMとROMの利用状況が確認できるほか、画面のリフレッシュレートやタッチ反応速度、タッチの追従性の設定もGame Enhancerから変更可能だ。

またゲームを起動しながら別アプリを起動することも可能で、ゲームをプレイしながら攻略方法を調べるといったこともできる。いちいちアプリを切り替える必要がないため、ゲームを中断することなく快適なプレイが可能だ。

ゲーミングスマートフォンではないにもかかわらず、ここまでのゲーム体験を可能にしたSONYのこだわりには驚くばかりだ。

Snapdragon 8 Gen2と放熱性能向上により、原神も最高品質で楽しめる。

またXperia 1 IVと1 Vで利用可能な「Xperia Stream」とGaming Gearも別売されている。このXperia Streamには本体冷却用のファンが搭載されており、温度上昇によるパフォーマンスの低下を抑制できる。

SONY公式サイトより引用

また接続端子類も充実しており、3.5mmイヤホンジャック・HDMI・LANポート・USB-Cを接続可能。

SONY公式サイトより引用

縦長デザインで手にすっぽり収まるXperia 1 V。側面・背面の特殊加工でより持ちやすく

1 Vは背面デザインが前作1 IVと異なり、細かいドットでザラザラとした肌触りになっている。

また側面もXperia Pro-iのようなスリットが入っており、グリップ力も増している。指紋認証電源ボタン・音量ボタン・シャッター用のボタンは、前機種同様に搭載されている。

横幅が71mmのため握りやすく、重量も187gと6.5インチのスマホにしては軽量のため、長時間持っていても疲れない。

21:9のディスプレイは、上下分割表示で情報量が多くて扱いやすい。画面上部でYouTubeを再生しながら、画面下部でSNSやGoogle検索をするといったことも可能。

オーディオメーカーのプライド。1 IVよりさらに進化したXperia 1 Vのスピーカー

Xperia 1 Vのオーディオ性能は、前機種の1 IVからさらに進化している。

SONY公式サイトより引用

スピーカーは本体上下部に設置されており、スピーカー穴は上下両方とも画面側に設置されているため、横向きでも音を左右均等に聞くことができる。

スピーカーがステレオというのは、ハイエンド端末では当たり前だ。しかしスピーカー穴が上下ともに画面側にある端末は少なく、ベゼルが太くなってもスピーカーを画面側に設置するのは、SONYの音へ対するこだわりを感じる。

またXperia 1 Vは「360 Reality Audio」にも対応。この機能は、Xperia本体は目の前にあるのに空間全体から音が聞こえるというものだ。これにより「音に包み込まれている」という新しい体験ができる。

SONY公式サイトより引用

オーディオ系の進化はこれだけには止まらない。Xperia 1 Vは1 IVと比べてスピーカーの駆動電圧を上げて出力を強化。またステレオスピーカー特有の微小なノイズをしっかりと抑制することで、ダイナミックでクリアなサウンドを実現している。

その他、スピーカー本体の性能を引き上げるため、スピーカー容積も可能な限り拡張。本体設計チームと連携し、こだわり抜いたとのこと。

「スマホスピーカーでここまでやるか」と思わせるほど、こだわり抜かれている。

イヤホンジャックはもちろん搭載

近年のスマホはワイヤレスイヤホンの普及を進めるために、イヤホンジャックを廃止する動きが多い。しかしXperiaはその流れに埋もれることなく、1 IVからイヤホンジャックを搭載。

特にリズムゲームなどでは、ワイヤレスイヤホンによるわずかな音ズレがプレイに影響する。そのため音ゲーユーザーは有線イヤホンを好む場合が多い。

先のスピーカーに引き続き、オーディオメーカーとしてのこだわりを感じる。

Xperia 1 Vのここが惜しい

1 IVから順当に進化を遂げたXperia 1 Vだが、長期間使っていく中でいくつか気になる点もあった。1シリーズはハイエンド端末のため、ユーザーからの期待値が大きい。購入して損しないために、購入前に確認いただけると幸いだ。

発熱による制御は強め

前作の1 IVより発熱対策が講じられたとはいえ、GalaxyやXiaomiのハイエンド端末と比較するとあと一歩足らずと感じる場面が多い。

個人的には、本体温度上昇によるリフレッシュレートの低下が頻発しており、ここは今後の改善を期待したい。

本体設計の問題からハイエンドでは当たり前になっているVC(ベイパーチャンバー)が搭載されておらず、熱拡散シートを採用していることが影響しているかもしれない。

処理能力の高いSnapdragon 8 Gen2を搭載しているにもかかわらず、その性能を最大限引き出せていないのは非常にもったいない。なお1 VIは本体サイズの変更と合わせて、VCが搭載されることになった。

画面輝度はやはり物足りない

4Kディスプレイを採用している都合上、画面輝度が他社のハイエンド端末と比較して低い点も個人的には気になる部分だ。

日中の屋外で写真を撮影する際、プレビュー画面が見づらく、撮影画角の確認や撮影した写真の確認に苦労する場面が多い。ただこの問題は4Kディスプレイを採用している限り解決するのは難しいため、画面輝度を上げるには、画面解像度を落とす必要がある。

Xperia 1 VIでは解像度がFHD+(2340×1080)に変更となり、画面輝度もXperia 1 Vと比較して50%向上しているとSONYは謳う。

室内での利用がメインならさほど問題になることはないが、写真撮影などで屋外利用が多いユーザーには気になる部分だろう。

サポート期間の短さが惜しい

Xperiaは他社メーカーと比較して、OS・セキュリティアップデート期間が短い。他社メーカーのハイエンド端末であれば、OS・セキュリティアップデートともに3年以上という場合が多い。

Galaxy S24シリーズ、Google Pixel 8シリーズは、アップデート回数が最大7回保証されており、アップデートサポート期間はどんどん伸びている。

Xperia 1 VのOSアップデート回数は最大2回、セキュリティアップデートは最大3年間となっている。このためXperia 1 Vは、Android15まで対応、セキュリティアップデートは、2026年までとなる。

このサポート期間は、定価20万近くするスマホにしては少し物足りない。近年のスマホはどんどん高価になっており、買い替えサイクルも長くなってきている。

メーカーとしては、買い替えを促すためにアップデート期間を短くしているのかもしれないが、こういう姿勢は長い目で見て、ブランドイメージを下げる可能性がある。OSアップデート3年・セキュリティアップデート5年は対応してほしいと個人的には感じる。

もちろんアップデートサポートにも多大なコストがかかるため、ある程度理解はできるが、やはりもう少し頑張ってほしいというのが本音だ。

4K&縦長ディスプレイ。取り回しと映像美を求めるならXperia 1 Vは今でもおすすめの1台

Xperia 1 Vは、4Kディスプレイと21:9の縦長比率を有した最後のXperiaだ。1 VIでは尖った特長ではなく、使い勝手を重視した設計に変更となった。

そのためXperia 1シリーズの思想である「好きを極める」というのは、1 VIより1 Vの方があると感じる方もいるかもしれない。僕個人としては、1 Vも1 VIもどちらも良いスマホだと思っている。

Xperiaのアイデンティティとも言える、4Kディスプレイと取り回しの良さを求めるなら、1 VIではなくあえて1 Vを選ぶのもありだろう。

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