先日、お子さんを持つクライアントからスマホ選びについて相談された。今お子さんが使っているiPhone11がそろそろ寿命のようで、買い替えを検討しているとのこと。
話を聞くと自分(クライアント本人)が機種変更する時に、変更前の端末をお子さんに渡している。下取りに出すくらいなら、身内に渡すというのは良い判断だろう。僕もiPhone 15 Pro Maxに機種変更する際、14 Pro Maxを身内に譲っている。
僕自身スマホを5台ほど持っており、Android端末も数台持っているため、Android端末については、身近な人から相談をそれなりに受ける。しかしそのほとんどが「本当はiPhoneが欲しいけど金銭的な理由でAndroidにする」という相談ばかりだ。
もちろん「どのAndroid端末を選べば良いか?」という相談なので、個人的におすすめできる無難な機種を紹介する。しかし僕自身「これはAndroid端末を購入して後悔する典型的なパターン」だと考えており、おすすめ機種を一通り紹介した最後に、「無理してAndroid買うのはやめて、iPhone買ったほうが良いですよ」と伝えている。
僕自身が「無理してAndroidを買うのはやめて、iPhone買ったほうが良い」と考える理由をまとめていきたい。
【大前提】iPhoneレベルで快適に動作するAndroid端末は、普通に高い
まず大前提として、iPhoneと同等に動作するAndroid端末で安価なものは比較的少ない。どのグレードのiPhoneと比較するかによって変わるため一概にが言えないが、標準グレード(iPhone15)と同等の動作・スペックを求めるのであれば、最低でも10万は見ておいたほうが良いだろう。
そしてこれをそのまま伝えると、「えっ、Androidなのに、高くない・・・?」となり、そこで話終了となる。もちろん一部の機種(Pixel 7a・Galaxy S23 FE)のような機種もあるが、それでも最低6万は超えることになり、相談者の想定していた価格とのギャップがある印象だ。
話を聞くとiPhoneからAndroidへ乗り換えを検討している人の出せる限度額は、筆者の肌感でしかないが、5万以下という場合が多い。5万以上の端末をおすすめしようものなら、iPhoneSE存在が出てくる。そうなると「iPhone SEでいいじゃん」となり、またしても話終了となる。
要するにiPhoneからAndroidに乗り換える人の要求をまとめると、「値段は5万以下、でも動作はiPhone SEと同じくらい快適に動いてね」となる。だがそんなコスパの優れたスマホは、技適があり国内の正規販路で販売されている中にはほとんどない。
※ここでは、型落ちやMVNOのMNPでの割引購入などは考慮していない。もちろんそれらを考慮すれば、上記要件をクリアする端末は見つかるかもしれない。
iPhoneからAndroidへの乗り換えは、いろいろと面倒で手間が掛かる
iPhoneからAndroidへの乗り換えを検討している人が見落としているポイントとして、「データ移行」問題がある。
iPhoneのデータ移行は本当によくできており、小難しい操作は不要。あっという間に機種変更前のiPhoneのホーム画面が、新しいiPhoneに移行される。アプリによっては、ログイン状態も保持される。これは本当にすごい。
もちろん最近のAndroid端末でも同様の機能がでてきており、以前よりデータ移行はスムーズになった。しかしiPhoneほど完璧に再現するには至っていない。
そのため、iPhoneと同じように「誰でも簡単に」データ移行ができると考えてはいけない。
Androidが適している人は次の2種類
ぶっちゃけAndroidは「スマホなんかに全く興味がなく、最低限動けば良いと考える人」か「スマホに個性を求めるほどのスマホオタク」のどちらかにしかおすすめできないと僕は考えている。逆に言えば、上記以外の人はiPhoneを買ったほうが無難とも言える。
スマホは最低限つかえればよいと考える人
このパターンはどちらかというと、中年から高齢者に見られる傾向だ。日常生活でスマホをゴリゴリ使うわけではなく、電話やメール、LINEと簡単なブラウジング程度でしかスマホを使わない人だ。
これなら最低の要件を満たした性能のスマホを選べば、特に大きな問題はない。ミドルレンジからローエンドの間でそれなりの機種が見つかる。SHARPのAQUOS senseシリーズやGoogle Pixel aシリーズあたりが、サポート期間も比較的長くておすすめだろう。
スマホがそれほど生活の中で重要ではないのであれば、価格の安いAndroidでも問題ないだろう。
スマホに個性を求める人
Androidは種類が豊富だ。カメラ特化・ゲーム特化など、メーカーごとでさまざまな機種が販売されている。
性能だけでなく見た目や材質も機種によってさまざまで、チタン素材やスケルトン、すりガラスなどがあり、見ているだけで楽しい。「周りと違うスマホが欲しい」と考える人は、必然的にAndroidになる。
またAndroidは使うのも楽しいが、どれを購入しようか検討している時も楽しい。これもAndroidを選ぶ醍醐味の一つと言えるだろう。
iPhoneは確かに高いが元は取れる
iPhoneは確かに高いが、「アップデートサポート期間」と「リセールバリュー」2つの視点から見れば割高というわけではない。そのあたりをもう少し深掘りしていく。
アップデートサポート期間は平均5年
iPhoneは機種にもよるが、発売から平均して5年ほどアップデートサポートが行われている。そのため5年間は安心して使える。
記事執筆時点でiPhone 15 128GBモデルは、124,800円だが、これを5年使ったと仮定すると、1年で24,960円の計算になる。このような視点から見ると「iPhoneは高すぎる!」と一概には言えない。
一方Androidは、機種によってアップデートサポート期間がバラバラだ。GalaxyやGoogleのように3年以上アップデートを保証してくれるメーカーもあれば、2年以下というメーカーもある。
アップデートサポート期間が2年の端末をサポートが切れるタイミングで購入すると仮定すると、トータル金額で見た場合、iPhoneとそんなに大きくは変わらない。
「アップデート期間が過ぎてもそのまま使えば良いのでは?」という声もたまに耳にする。iPhone・Androidともに、アップデート期間を超えても使えないことはないが、アプリが正常に動作しなかったり、セキュリティ上の問題があったりするので、個人的にはおすすめできない。
アップデートサポートが自分の使用用途でどのような影響をもたらすのかを十分と理解し、適切に対処できるのであれば、Androidでも問題ないだろう。しかしそうでないのなら、素直にiPhoneにしておく方が無難だ。
iPhoneはリセールバリューが高い
iPhoneは中古で高く売れる。もちろん廉価モデルのSEシリーズだと値がつかない可能性もあるが、標準グレードはそれなりの価格で売れる。Proシリーズなら尚更高く売れる。
キャリアショップで機種変更する人の多くは、下取りに出しているだろう。しかしキャリアで下取りに出すより、メルカリなどのフリマアプリで出品する方が、10%の手数料を差し引いても高く売れる場合が多い。
もちろんフリマアプリだと購入者がいなければ売れないというリスクもあるが、iPhoneなら「画面が割れている」「ボタンなどが正常に動作しない」といった致命的な問題がなければ、普通に売れる。
Androidは人気機種であってもiPhoneより値段の下落率が大きく、またiPhoneと比較して需要が少ないため、フリマアプリで売れない可能性がある。そのためAndroidに関しては、フリマアプリより、キャリアの下取りを活用した方が良いかもしれない。
また上記の例はあくまでもハイエンドのAndroid端末の話であり、新品の値段が5万以下のAndroidなら、下取り価格はタダ同然だ。
スマートフォンは頻繁に買い替えるものではないとはいえ、売却した時に「いくらで売れるのか?」「それによっていくらで新機種を購入できるのか?」は意識しておきたい。目先の金額に捉われず、長い目で見るようにすべきだ。
家電量販店のセールってぶっちゃけどうなの?お得なの?
家電量販店のセールは一見魅力的に見えるが、多くの場合、長期契約や特定のプランへの加入が条件となっている。実質的なコストを考えれば、必ずしも良い選択とは言えない。
上記のセールは、キャリアのコース内容や契約形態を熟知し、総支払金額を計算できる上級者向けの購入方法だ。ショップで店員の言われるがまま契約をしてしまう人には、正直おすすめできない。
またこれらのセールは、家電量販店ごとでバラバラで、さらにいつ行われて、いつ終了するのかが読みづらい。それこそSNSに張り付いたり、家電量販店を回って情報収集をしなければ、セール情報を手にいれることはできないだろう。
また知識が乏しい状態だと、セールスの口車に乗せられて、余計な契約をしてしまうリスクもある。繰り返しになるが、家電量販店のセールは「上級者向け」ということを認識しておこう。
キャリアの「お返しプログラム」ってどう?
キャリアの提供する「お返しプログラム」は、月々の費用を抑えて新品の端末が購入できるサービスだ。最近のスマホ本体料金は、インフレや為替の影響もあり、年々高くなっている。
そのため一括でスマホ本体料金を支払えない人にとっては魅力的に見えるかもしれない。実際過去の自分も、キャリアのお返しプログラムで新型iPhoneを購入していた。
しかし結局のところ、キャリアを通して販売される端末は、キャリアの利益が乗せられた価格になっている。例えばiPhoneは、Apple Storeとキャリアの販売価格を比べると、同じ機種であっても数万の値段の差が出てくる。明らかに割高だ。
何かしらの違いがあれば価格差に納得ができるかもしれないが、「全く同じ商品」の価格が違うのは納得できない。もう一度言う。「全く同じ商品」の価格が違うのは「納得」ができない。
機種によっては、SIMフリー端末がなく、キャリアでしか販売されていないものもあるかもしれない。そういった場合は仕方はないが、iPhoneやGoogle Pixelなら、Apple Store・Google Storeでキャリアより安い価格で販売されている。
最近ではApple Store・Google Storeともに分割での支払いもできるようになってきている。キャリアの割高価格で購入するのはやめて、SIMフリー端末を購入すべきだ。
iPhoneを少しでも安く買うなら、Apple直売で
基本的に長期使用が前提かつ少しでも安く購入したいのなら、Apple StoreでiPhoneを購入することをおすすめする。
Apple Storeであれば前述の通り、キャリアの利益が乗っていないため、本体価格を抑えられる。また購入時にApple Careなどの保証サービスもつけられるので、これまでキャリアの補償オプションに入っていた人でも安心して購入できる。
今のiPhoneはデータ移行が昔と比べて簡単になっているので、キャリアショップの人にお願いする必要もない。
今までキャリアショップで端末を購入するのが当たり前だった人からするとハードルが高いかもしれない。しかしそれは最初だけで、一度始めたら「なんで今までキャリアショップで高い金額で購入していたのだろう」と感じるようになる。
同じものを購入するなら絶対安い方が良い。