2023年の9月にSIMフリー版のAQUOS R8 proを購入し、約8か月ほど使ってきたので、長期レビューとしてまとめる。
SONY製1インチセンサーで明るく綺麗な写真が簡単に撮れるAQUOS R8 pro
AQUOS R8 proはSONYの1インチセンサーである「IMX989」を搭載しており、スマホに搭載されている中では大型のセンサーだ。これにより、光をより多く取り込むことができるため、暗所でも綺麗に撮影が可能となった。
またドイツのカメラメーカーであるLEICA社のチューニングにより、味のある写真がボタンを押すだけで簡単に撮影できる。
背面カメラには「LEITZ」と「SUMMICRON」の文字が印字されており、カメラデザインと相まって迫力がある。
ただし、XiaomiやGalaxyのように望遠レンズがないため、ズームは「デジタルズーム」となり、6倍までしかズームできないのは惜しいポイント。基本的には1倍で、被写体に近づいて撮影することを想定した端末だ。
スペクトルセンサーで、より正確な色味が再現可能に!
AQUOS R8 proに搭載されているメインセンサーは、旧機種のAQUOS R7と同じだが、今回新たに「14ch スペクトルセンサー」というセンサーを搭載している。
上部にある白い部分が14ch スペクトルセンサーだ。
このセンサーにより、光の状態を正確に捉えるとともにホワイトバランスを調整し、現実により忠実な色合いで撮影することができる。
作例一覧
ここから作例を掲載する。作例は全て撮って出しの無加工状態で、撮影時のカメラ設定も全て初期値のままだ。
AQUOS R8 Proで撮影すると、彩度高めの色鮮やかな写真に仕上がる。そのため実際の見た目より色が濃く感じることが多い。※カメラ設定を初期値で撮影した場合
実際の見た目より色鮮やかな写真になるのは、最近のスマホのトレンドなので賛否両論あるとは思うが、個人的にはかなり好みだ。
ズーム比較
ズーム性能に関しては冒頭で説明した通り、デジタルズーム6倍までとなる。0.7倍から6倍までの比較を下記に掲載する。
やはりデジタルズームなので、最大ズーム倍率の6倍にもなると、細部がぼやっとして潰れかかっているのがわかる。実用できるのは2〜3倍程度だろう。
ポートレート
ポートレートは1インチセンサーだけあって、背景をしっかりとぼかして撮影ができる。また背景のぼけは10段階の調整が可能。数値を下げて軽くぼかしたり、逆にあげて強くぼかしたりなど、撮影シーンに応じて切り替えて楽しめる。
夜景
夜景モードは全て手持ち1倍にて撮影。もちろん綺麗に映るのだが、個人的には白飛びしやすい印象を受けた。ただ白飛びは出る時と出ない時があり、撮影時の周囲の状況などが影響しているのかもしれない。
カメラだけじゃない。普段使いも抜かりないAQUOS R8 pro
特徴的な外観からカメラばかり注目されているが、ハイエンド端末なだけあって、普段使いも不満はない。基本スペックは次の通り。
サイズ | 高さ161mm×幅77mm×厚さ9.3mm 重量203g |
---|---|
SoC | Snapdragon 8 Gen2 |
OS | Android 13 |
メモリ | RAM 12GB ROM 256GB |
外部メモリ | microSDXCカード(最大1TB) |
バッテリー容量 | 5,000mAh |
ディスプレイ | 6.6インチ(1,260 × 2,730) |
SIM | nanoSIM / eSIM |
SoCはSnapdragon 8 Gen 2で文句なし
今では型落ちとなってしまったが、SoCはQualcommのSnapdragon 8 Gen2を搭載しているため、日常使いに不満を感じることはないだろう。
また8 Gen2は前作の8 Gen1と比較して温度上昇によるパフォーマンスの低下も抑えられており、重たい3Dゲームも難なくプレイできる。
原神のようなゲームも、高いフレームレートを維持したまま快適にプレイが可能だ。
超音波式の指紋センサーで認証速度は爆速
画面内指紋認証を搭載しているスマホは多いが、その多くは認証速度が遅い「光学式」だ。しかしAQUOS R8 proは、Qualcommの超音波式指紋センサー「3D Sonic Max」を採用しているため、認証速度が早い。
認証速度が早いだけでなく認証範囲も広いため、指をかざす位置が少しずれると認証できない、といったこともない。四隅の枠の中であれば、どこでも認証が可能だ。
一般ユーザーからすると地味な部分に見えるかもしれないが、ロック解除はスマホを使ううえで頻繁に行うため、超音波方式の方が間違いなく快適に使える。
ただし、現状国内で正規販売されている端末の中で超音波方式を採用しているものはほとんどないのが現状だ。
AQUOS R8 proはカメラばかり目立っているが、こういった部分もしっかりと変更されており、国内メーカーとしては頑張っている方だろう。
今では貴重な3.5mmイヤホンジャック搭載
AQUOS R8 proは、最近スマホではめずらしく、3.5mmのイヤホンジャックが使える。スマホメーカー自らがワイヤレスイヤホンを積極的に販売している関係で、スマホ本体のイヤホンジャックを廃止する動きがある。
しかしAQUOS R8 proは、SONYのXperiaと同様にイヤホンジャックを残しているため、有線イヤホンで高音質を楽しむことができる。
OSアップデート最大3回、セキュリティアップデートは最大5回で安心して使えるAQUOS R8 pro
近年のスマホは円安や資材の高騰で、基本的には価格が上がっている。特に販売数が廉価モデルと比べて少ないハイエンド端末は、その傾向が顕著だ。
価格が高い端末は、できるだけ長く使いたいと考えるユーザーが多く、メーカーもそれに答えるためにアップデート回数を増やしている。SamsungのGalaxyやGoogleのPixelシリーズは、OSアップデートが5年以上と、AppleのiPhoneと同等のサポート期間を提供している。
しかしアップデートはメーカー側のサポート体制や資金力にも左右されるため、「高価格のハイエンドだからサポート期間も長い」というわけでもない点は注意が必要だ。※少し前までSONYは、自社のフラッグシップであるXperia 1シリーズ(本体価格15万以上)であってもOSアップデート期間は2年ということがあった。
AQUOS R8 proは、OSアップデートが最大3回、セキュリティアップデートが最大5回なので、3年は問題なく使えると考えて良いだろう。もちろんOSが最新でなくてもよいと考えるのなら5年間使える。
サポート期間が特別長いわけではないが、短いというわけでもないので、ここはあまり気にしなくてよいだろう。
コンセプトは面白いが、AQUOS R8 proは使い手を選ぶスマートフォン
AQUOS R8 proは1型センサー1本という尖ったコンセプトが特徴のスマホだ。そのため万人受けとは言えず、使い手を選ぶスマホだろう。しかし撮影体験と普段使いのバランスは良く、ハマる人にはハマる1台に仕上がっている。
また今年のSHARPの最新機種であるAQUOS R9では、proモデルが存在せず、センサーサイズも1インチから1/1.55インチにサイズダウンとなった。そのため記事執筆時点で、SHARPの1インチセンサー搭載スマホは、AQUOS R8 proが最終モデルとなる。
型落ちではあるが、まだまだ現役なので、気になる人はぜひ一度チェックしてみてほしい。